フォローはこちら ➡ @hiseiki_shouyo
2019年6月4月からツイッターを始めました。
提訴してから5年2か月。2020年10月13日に最高裁判決が出ました。皆様にはたくさんの応援をいただいたのにほぼ全面敗訴。
全国から注目の集まった賞与については、残念ながら獲得することはできず悔しい思いで一杯です。
ただ100%全て負けたわけではなく、夏期休暇5日間を勝ち取りました。ここは声を大にして言いたいです。組合の皆様にはそれぞれの団体交渉でぜひ活用していただきたい。厚労省ポスターもあります、格差是正に少しでも前進して欲しいと思います。
判決については、正規と同じ時間で同じ仕事内容を同じ責任で働いていて、配置転換も同じようにあるのに、賞与は0でいい、だなんてどうしてそういう結果になってしまうのでしょうか? 何かがおかしい、と強い違和感がありましたが記者会見では残念な思いを伝えるだけで精一杯で、何がどうおかしいのかまとめるには心がついて行きませんでした。
判決の内容をよく見てみると、これが最高裁の判断なのかと疑うような、あり得ない不公正な内容であることが分かりました。
正規と非正規を比べる時に①仕事内容、②配置転換の有無、③その他の事情を考慮し不合理かどうかを判断されます。
そうすると誰と比べるかということが重要になります。地裁と高裁では比較対象を正職員事務全員とされていたので、「違う仕事をしている人と比べたら、仕事内容が違うとなってしまうのは当然」と原告側が反論していました。
それが今回最高裁では急に正職員秘書4人と比べるとなっていました。しかし同じ仕事をしている正職員と比べたことで大きな矛盾が生じることになっています。
判決後、全国の報道局で夕方のニュース、夜には報道ステーション、ニュースZEROなどの報道で放送されました。NHKでは当日の時論口論「非正規のボーナス・退職金 最高裁判決の意味は」特集で解説され、「最高裁はそもそも同一の労働だったのかというところを、かなり厳しく見たということ」と山形解説員が説明していました。
10/15朝の「グットラック」でも特集が放送されました。写真にあるように、アルバイトが行わない正職員の仕事と業務命令で配置転換がある。「一定の違いがあるから賞与を支給しないことは不合理とまでは言えない」と説明していました。
では、賞与0となるくらい、本当に仕事内容や配置転換はそれほど違っていたのでしょうか?
20条の要件①仕事内容で比べると上は正職員秘書、一番下はフルタイムアルバイト職員の原告です。
・9割の同じ仕事
基礎系教室を運営するのに基本的な秘書業務や事務は9割がほぼ同じです。それは大阪地裁の証人尋問で大学側証人が「他の教室の正職員秘書とほとんどの業務に違いはない」とはっきり認めています。
しかし判決ではそれには一切触れていません。
・残り1割は正職員もアルバイト職員も、それぞれが各自で違う仕事
判決では「アルバイトは簡便な仕事、正職員は英文編集、遺族対応、試薬の管理をしている、仕事内容が違う」とありますが、正職員がしている仕事として挙げられた仕事は、1割です。
研究の違いに応じて生じる教室独自の仕事で、私も薬理学教室独自の仕事として1割の違う仕事をしていて、裁判の弁論でも出してきましたが、こちらも判決では一切取り上げられていません。
また正職員の仕事は判決を読んだだけでは一人の正職員が挙げられたこれらの3つの仕事を全てしているようにイメージを誘導しているので、NHK時論口論やテレビニュースでイラストで紹介されていたように誤解されて報道されています。実際には各自一人ずつが一つの仕事をしていて、私も薬理学教室独自の仕事をしていますが、表の網掛け部分しか最高裁判決では取り上げていません。
9割の同じ仕事と、私もしてきたそれぞれが独自の1割の違う仕事。これでは比較の仕方が明らかにおかしくないですか? 同じ仕事をしている人と比べたら、普通は勝てる部分が増えることはあっても負けることはないはずです。
これで公平に公正に、仕事内容を比較したと言えるのでしょうか?
そもそも正社員同士で同じ課であっても100%同じ仕事をしている人はいるのでしょうか?1割の違いで仕事内容が違うと判断されるのであれば、今後正規と非正規の格差是正の裁判で賞与が認められることは一切なくなってしまうと心配しています。
20条の要件②配置転換
5年2か月の裁判の中で、「正職員秘書はほぼ配置転換されず固定されている」ことを大学側も認めていたのにも関わらず、最高裁判決では配置転換の「可能性」があるとしました。
ではアルバイト職員の方はどうだったかというと
・アルバイト職員就業規則に「配置転換はある」とはっきり明記されている。
・実際にアルバイト職員の異動があった。
・それを大学側も配置転換の異動と認めていた。
それなのに、アルバイト職員の配置転換は「例外的」とされ、実例があってもなかったことにされました。
【地裁高裁の判決では比較対象は正職員事務全員なので、200名以上の事務全員に配置転換は多くあって、アルバイト職員の異動数名の中で大学が認めたのは1例、これを例外的としたのだろうと推測できます。
しかし、今回最高裁判決では正職員秘書4名との比較です。】
大学が長年固定されていると認めた正職員秘書4名と、大学が認めたアルバイト職員の1例の配置転換、これで配置転換に違いがあるといえるのでしょうか?ここでも比較の方法は不自然としかいいようがありません。
実態では、アルバイト職員には配置転換の実例があってもなかったことにされてしまう。事実を捏造して判決を書いたのでなければ、こんなことはあり得ないはずです。
「非正規に賞与は絶対に出さない」という結論ありきで判決を書いたから、あってはならないことが実際に起こってしまっています。
2018年6月の先行するハマキョウレックス・長澤運輸の最高裁判決では一般論で「20条は職務の内容等の違いに応じた均衡のとれた処遇を求める規定で、各労働条件の趣旨を前提に職務内容等の考慮要素から均衡がとれているかで不合理性を検討する」と述べています。
最高裁判決の一般論で述べられたことは、その後の裁判のベースとなるものです。
しかし大阪医科大学の判決では、賞与0、年収が新入職員の55%でも不合理ではないとの判決。
バランスどころか「均衡のとれた処遇」は全く考慮されていません。
まず先に「絶対に賞与は出さない」という強い意志があり結論が先にあって、それに理由をつけていったかのようで、辻褄が合わないことがたくさん出てきています。
20条の要件③その他の事情。ここに何でも詰め込んでしまっていること。これでいいのでしょうか?
●賞与の趣旨
最高裁判決では賞与の趣旨を「正社員の人材確保・定着」とし、職務内容や配置の変更の範囲に、「一定の」相違があるとしました。一定の相違があるとするならば、あるはずの「一定の同じ部分」や仕事内容の違いに応じた均衡処遇には一切触れていません。
●正職員秘書をアルバイト職員に置き換える過程と言っていますが、正職員秘書が異動の後や退職した後にフルタイムのアルバイト職員に置き換えて、同じ仕事を実際にさせているのだから、考慮するなら非正規側に立って考慮すべきです。
●登用制度
実際に登用試験でアルバイト職員から契約職員に合格したのは、大学側では(病院側を除く)ある理事が関係している3つの部署の人しかいません。実際には公正に運用されているとは言えません。
最高裁判決 : 2020年10月13日(火) 13:30~、最高裁判所 第三小法廷
最高裁裁判長 宮崎 裕子、裁判官 戸倉 三郎、林 景一、宇賀 克也、林 道晴
●「大阪医大事件・東京メトロ事件原告団と応援する女たち」最高裁前アクション
12:10~12:40
●受付 12:40~50
最高裁南門で傍聴整理券の交付(傍聴席は合計24席、それ以上の場合は抽選になります)
●判決 13:30 最高裁判所 第三小法廷
判決後一報報告あり
・東京メトロ判決15:00
●大阪医科大学記者会見、厚労記者会 16:00~
・東京メトロ記者会見、厚労記者会 16:45~
●報告集会 17:50~18:50 参議院議員会館 (東京メトロと合同開催)
2020.9.21、大阪医科大学裁判のことが、朝日新聞「働く」というページに特集で掲載されました。
「本当に使い捨てなんだ」全国の非正規で働く人は一度は思ったことがあると思います。
労働契約法20条、パート有期法がなぜできたのか。もし賞与を認めた高裁判決が覆されて企業の裁量の自由が認められてしまうなら、経験豊富な非正規をボーナス0円で新入社員の55%で雇えばいい、という企業ばかりになってしまったら。正社員なんていらない、非正規だけがどんどん増えていくという社会になってしまうのではないか?
そうならないためにも、法の趣旨に沿った判決を書いて欲しい‼︎
・司法が変われば社会が変わる
・ILO(国際労働機関)100号条約「同一価値の労働について男女労働者に対する同一報酬に関する条約」に日本が批准したのは1951年、世界に恥じない判決を。
ボーナス支給日に非正規も一緒に笑いあえる日が来る事を心から望んでいます。
最高裁弁論 : 2020年9月15日(火) 13:30~、最高裁判所 第三小法廷
・厚労省で記者レクチャー
11:45〜(11:00から変更)
・「大阪医大事件・東京メトロ事件原告団と応援する女たち」最高裁前アクション
12:10~12:40
●受付 12:40~50
最高裁南門で傍聴整理券の交付(傍聴席は合計24席、それ以上の場合は抽選になります)
・弁論 13:30~ 最高裁判所 第三小法廷
・報告集会 16:30~17:30 参議院議員会館 講堂 (東京メトロと合同開催)
「世界に恥じぬ判決を」、「司法が変われば社会が変わる」
アクションには全国の労組や女性団体の42人が賛同した。
アクションに参加したジャーナリストの竹信美恵子さんは「最高裁で格差是正が認められなければ、安倍政権が同一労働同一賃金と大騒ぎしたのは何だったのかということになる。非正規労働者の労働条件がどうなるか鍵となる判決だ」と裁判の重要性を訴えた。
他の参加者からも「女性の6割が非正規で働き、非正規の7割は女性だ。非正規の賃金差別は女性の問題だ」「日本はジェンダー平等のランクが世界でも低い。判決が及ぼす影響は広く、大きい」などと訴えた。(毎日新聞から)
➡こちら https://www.bengo4.com/c_5/n_11723/
大阪医科大学の研究室で秘書のアルバイトをしていた女性が訴えた裁判では、去年、2審の大阪高裁で賞与を支給しないことを違法と判断し、正規職員の賞与の6割(基本給80%×60%で新入正職員の48%)の支払いなどを命じています。
大阪医科大学と東京メトロの2件の裁判について、最高裁判所第3小法廷は、ことし9月15日に双方の主張を聞く弁論をそれぞれ開くことを決めました。
退職金や賞与の格差が違法かどうか、最高裁の判断が示される見通しです。(NHK朝のニュースから)
全国で非正規雇用労働者が2100万人以上、働く人の約4割が非正規という現状で、これ以上格差が広がり続けることは社会全体のためにもなりません。
政府も推し進めている同一労働同一賃金の流れは今後益々進んでいくことと思いますし、大阪医科大学へは上告を取り下げることを検討して欲しい、最高裁には非正規労働者の思いを受け止めた判決をしていただきたいと思います。
同一労働同一賃金は、安倍首相が推し進める働き方改革の重要課題の一つです。
安倍首相は「非正規をなくす」とこれまでに何度も言い、政府主導で同一労働同一賃金を推し進めています。
正規と非正規の格差を少しでもなくして、収入が増えて一人でも多くの人が幸せに暮らせるように。また、少し増えた収入で年金の掛け金が少しでも多くかけられたら、将来もらえる年金も増えます。 2100万人以上いる非正規雇用で働いている方々が、将来少しでも楽しく心穏やかに暮らせるような世の中になって欲しいと心から願っています。
*大阪高裁で1か月前後をかけ理由書などをチェックし、最高裁へ記録が送付されました。
その後、最高裁で判断がなされます。不受理の場合は1~4か月くらい、1年前後かかる場合もあり、2年待って不受理の例もありどのように進むか分かりません。
*原告は、同一労働同一賃金にはまだまだ不十分ではありますが、高裁判決の「賞与6割獲得(新入職員と比べて)」は大きな一歩の前進と捉え、裁判が長引くことは希望しておらず、大学側が上告しなければ、原告も上告しないと大学へ団体交渉で要請していましたが、大阪医科大学は憲法違反として上告しました。
大阪医科大学裁判でお世話になっている弁護士の谷先生、西川先生、鎌田先生、河村先生が、2019年11月9日岡山市で開催された日本労働弁護団第63回全国総会で日本労働弁護団賞を受章されました。おめでとうございます!!
「もう裁判を続けるのは無理かも」と弱気になったことも何度もありました。しかし、「大阪医科大学の裁判では原告は一人ですが、この判決は全国で働いている2100万人以上の非正規の方々に直接影響がある重大な判決になるから」と4人の先生から。また組合の皆さんや全国の方から応援の声をいただき裁判を続けることができています。
先生方には、労働裁判は長い時間がかかっても企業顧問のように多額の報酬はないのに、頑張っていただいています。苦しんでいる労働者の立場に心から共感し、共に闘ってくださる先生方には本当に感謝の言葉しかありません。
長澤運輸、ハマキョウレックス、東西の郵政、東京メトロ、大阪医科大学など、20条裁判だけでなく、全国の裁判でそれぞれが一進一退しつつも、少しずつ勝ち取ってきた判決によって、本当に少しずつですが社会がいい方向に変わっていけるのだと信じています。
それは様々な労働裁判で闘ってくださっている、全国の弁護士の先生方の、正義と良心のおかげだと思っています。
改めて御礼申し上げます。
令和初のボーナス、経団連発表の大手企業の夏のボーナスは平均97万円余と今年も高い水準を維持。格差は正社員と非正規社員との間にも広がっています。厚労省の発表では正社員以外にも支給しているのはわずか30%。
こうした中、少しでも格差を埋めようとする動きも出ています。今年2月、大阪高裁は大阪医科大学裁判で、非正規職員にもボーナスの支給を認める判決を言い渡しました。さらに企業の側では動きは進み、ホームセンター「カインズ」、ZOZOタウンではパートやアルバイトにもボーナスを支給しています。
こうした現状に森永卓郎氏は「新しい時代は多様な働き方が選択できる社会が望ましいと思っていて、それを実現するためにもまず日本の非正社員のあまりにひどい労働条件を直していかないといけない。せめて最低賃金を上げる・非正社員にもボーナスを払う形で底上げすることで全体の賃金総額を増やすことが必要だと思います。」
桑子アナ 格差を埋めるということですが、2020年4月には正社員と非正規社員の待遇の差をなくす新しい法律が施行されます。それによって非正規労働者にも仕事内容に応じて適切にボーナスを払うことになります。
有馬アナ となると、問われるのは企業ですね。企業は適切に対応することが問われます。
厚生労働省、同一労働同一賃金担当局長も大阪高裁判決を支持した答弁をしています。
福島瑞穂議員 : 20条の裁判、、、大阪医科大学では賞与が認められた判決では、、、、厚生労働省としてどう受け止めていますか?
小林雇用環境均等局長 : 正規と非正規の待遇差に関しまして、個別の手当毎に判断するなど、昨年の最高裁判決を踏まえたものと承知しております。昨年6月に働き方改革関連法成立を致しましてまだ未施行ではございますが、その法律におきましても個々の待遇毎に当該待遇の性質・目的に照らし合わせて適切と認められる事情を考慮して判断されるべき事として明確化されております。
ご指摘の判決はこうした流れに沿ったものというふうに認識しております。
・同一労働同一賃金ガイドライン
・事業主への支援
・労働者への支援
・パンフレット、関係資料等
「省令、指針反映版のリーフレット」、「パートタイム・有期雇用労働法対応のための取組手順書」、「不合理な待遇差解消のための点検・検討マニュアル(業界別マニュアル)」、「職務評価を用いた基本給の点検・検討マニュアル」、下に案内したポスター、法律・省令・指針等が分かりやすく載っています。
厚生労働省作成のポスターです。大きく印刷して、職場の掲示板に貼りだすなど。
また、団体交渉などでぜひお使いください。団体でなくても一人でも使えます。『厚生労働省が「不合理な待遇差は禁止」と言っています。』と面談で伝えてください。
これほど心強いサポートはないと思います。大阪医科大学のように、職場に非正規の入れる組合がない方でも、ぜひ使ってみてください。